【日本社会福祉弘済会助成事業】
2021年度 高齢化する障害のある人の暮らしに関する調査研究
2023年度 高齢化する障害のある人の暮らしとACP(アドバンス・ケア・プランニング)に関する調査研究
※写真:対談「高齢化する障害のある人のリアル」

高齢化する障害のある人の暮らしに向き合って

たんぽぽの家の運動は、2023年に50周年を迎えました。

たんぽぽの家が運営する福祉ホームに入居されている方のなかにも、65歳を超え、介護保険制度も併用しながら生活されている方もいらっしゃいます。

脳性まひなどの障害をもつ方は、加齢に伴って身体が変化し、必要なケアも変わるということを感じていました。その変化は40代くらいから生じ、歩行器で移動できていた方が車いすを使用するようになられたり、首の神経の圧迫等で手足のしびれが起きたり、内臓の機能が低下するなどさまざまなことがありました。経過のなかでは、医療的ケアを必要としてなかった方が、透析や胃ろうからの注入などのケアが必要になられることもありました。

一人ひとりの身体の変化にどう向き合うか、医療が必要になったときにだれがどう判断し、意思決定をしていくのか。この10年ほど、これまでに直面しなかった課題にぶつかり、障害のある人本人もご家族も、携わるスタッフも試行錯誤してきました。これらの試行錯誤の記録を残したい、他の施設などでは、障害のある人の高齢化の問題にどう向き合っているのか知りたいと考え、2021年、2023年と助成金を受けて調査研究に取り組みました。

  • 調査研究事業|報告書
  • 事業所見学の様子

高齢化する障害のある人の調査研究事業の取り組み

2年にわたる調査研究では、障害のある人のライフヒストリーを振り返り、医療的ケアが始まったときや介護保険の利用が始まったときなどのターニングポイントに携わった支援者のヒアリング等を実施しました。

また、先駆的な取り組みを行っている事業所を複数見学する機会もつくり、施設形態の違いや利用される人の違いなどから、改めて自分たちの取り組みを振り返ることができました。

こうした活動のなかで、障害のある人のACP(アドバンス・ケア・プランニング)とどう向き合うのか、という課題に直面しました。ACPに関するお話を聞く機会をつくったり、もしものときにどうしたいかを考えるツール“もしばなゲーム”体験を行うこともしました。

高齢になってくると障害のあるなしに関わらず、病気になることも増え、医療との距離が近くなります。特に障害のある人の場合、個人の身体状況の違いから情報が限られたり、選択することが難しかったりします。暮らしを支える支援者(ご家族含む)の意見も多様にあり、より選択を難しくさせます。

どのように障害のある人の老いに向き合い、医療の選択の場面をどう考え、生活を支えていくかを、実践的な取り組みだけでなく、調査研究事業に取り組むことで試行錯誤を整理し、発信しました。それによって、新たな気づきやネットワークにつながっています。これからも日々の生活のなかで湧き出た疑問や悩みを、そこだけに留めず、思考していけたらと思います。

ACPの研究会

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