Good Job!センター香芝では、障害のある人の表現をいかした《ものづくり》を行なっています。メンバー自身が手を動かし、年間数千体もの数の「張り子」や「陶器」の置物飾りを作っています。生まれたものづくりは中川政七商店や無印良品をはじめとしたお店で販売され、その他、様々な企業・団体とコラボレーションした展開も行なっています。今回は、そんなGood Job!センターで生まれているものづくりについてご紹介いたします。
Good Job!のものづくりのはじまり 〜張り子「鹿コロコロ」の誕生〜
奈良県にある300年続く工芸メーカー「中川政七商店」とGood Job!センター香芝の協働製作で生まれた《鹿コロコロ》。“100年後に残る郷土玩具をめざして”というコンセプトのもとで誕生したこの鹿コロコロは、今では全国の店舗や百貨店などで販売されています。
張り子《鹿コロコロ》
《張り子》は木型に和紙を貼り重ねてできる置物飾りで、干支縁起物など、全国で親しまれる工芸品です。この鹿コロコロでは、従来使用される木彫りの型に代わり、3Dプリントで型を作っています。鹿コロコロの絵付けデザインにはアートセンターHANAの中村真由美さんのイラストから着想をえて出来上がったものがあります。
その他、この鹿コロコロには、障害のあるメンバーがより製作しやすいよう工程に工夫がされています。その一つが、和紙と新聞紙の2種類の紙を交互に貼り合わせて使うようにしたこと。1層目は和紙で、2層目は新聞で貼り、それを交互に行うことで視覚的に層をわかりやすくしています。
鹿コロコロの制作工程
障害のある人の表現×3Dプリンター
Good Job!センター香芝がオープンして、最初に生まれた商品が《Good Dog》(グッドドッグ)張り子です。この張り子の原形は、中村さんが制作する「クマ」の立体作品から。なぜクマが犬になったかというと、3Dスキャンを行いCGでボディを引き伸ばすとダックスフントみたいになって可愛かったんですね(笑)。さらにそれを、大きさを変えて重ねてみると「ホットドッグに見える!」と。そうしてGood Job!センターオリジナルマスコットGood Dogが誕生しました。(Good Job!センターのカフェでは、このGood Dogというメニューでホットドッグを販売しています…)
張り子「グッドドッグミニ」|デザイン協力:竹田周平、アートディレクション:UMA / design farm
中村真由美さんの立体作品の3Dスキャニング
3Dプリントによる張り子の原型づくり
Good Dogの製作工程工程
ものづくりのアイデア企画もメンバーから生まれてくるように...
Good Job!センターでは、張り子のものづくりのほかに《陶器》の置物飾りも作っています。干支や縁起物など、作る数量が大量になる場合やオーダーによって素材や製法をアレンジ。こちらはなんと、商品のかたちやデザイン、名前などを障害のあるメンバーたちが考えてています。さらに、最近ではデジタルでデザインをつくるメンバーも増えています。
うさぎの干支のアイデアシート(メンバー:池田永遠)
干支・「ふでうさぎ」(左:完成品、右:素焼き生地)
3Dで絵を描く「3Dモデリング」でデザインを考える
多様な企業・団体、クリエイターとの協働からひろがる『Good Job!のものづくり』
メンバーのアイデアやデザインをいかしたり、デジタル技術と手仕事を組みあわせ、デザイナー/企業/団体/神社などさまざまな方面から商品製造のオーダーをいただくことがあります。自由に創作するのではなく、テーマやモチーフなど創造する枠があることで、メンバーの表現や手仕事がいかされることがあります。また、福祉以外の他分野の人たちと一緒に協働することで商品の作り方や届け方の幅が広がっていきます。
服部天神宮・干支置物|アートディレクション:UMA / design farm
誠光社・「本かぶり人形」(玩具工芸社)/絵付け風景
のぞみ福祉作業所「のぞみ叶う招きハチ公張り子」